支援の仕事をしていると、「これでよかったのだろうか」と迷う瞬間が必ずあります。看護師として、また療育の現場で働く中で、私も何度もそんな気持ちになってきました。夜、布団の中で「あのとき、違う言葉をかけていたら」「もっとうまくできたはずなのに」と考え込んでしまうこともあります。
今日は、支援に迷ったときに私が大切にしてきたことをお伝えしたいと思います。支援する側の方だけでなく、お子さんを育てる保護者の方にも、また誰かを支えようとしているすべての人に、何か届くものがあれば嬉しいです。
「正解」がないのが支援の難しさ
支援には、教科書通りの「正解」がありません。同じ言葉をかけても、ある人には響き、別の人には届かないこともある。昨日は効いた方法が、今日はうまくいかないこともある。それが支援の難しさであり、同時に深さでもあります。
医療の世界では「エビデンスベースド(根拠に基づく)」という考え方が重視されます。もちろんそれは大切なことです。でも、人の心や生活に関わる支援では、データや理論だけではどうしても捉えきれない部分があります。目の前の人が、今この瞬間に何を感じているか。それを感じ取ろうとするセンサーが、支援者にとって何よりも大切なものだと私は思っています。
だからこそ支援者は迷います。「もっとこうすればよかった」「あのとき別の言葉をかければよかった」そんなふうに、夜眠れなくなることもあるかもしれません。でも、その迷いこそが、あなたが真剣に相手と向き合っている証です。
迷うことは、真剣に関わっている証拠
迷いを感じたとき、それを「自分の失敗」「力不足」と捉えないでください。迷いはむしろ、あなたが相手に真剣に向き合っているサインです。マニュアル通りにこなすだけなら、迷う必要はありません。迷うのは、相手のことを深く考えているからです。
私が尊敬する先輩看護師に、こんなことを言われたことがあります。「迷いのない支援者は怖い。迷いがあるということは、まだ相手を人として見ているということだ」と。その言葉が、今でも私の心に残っています。
もちろん、迷いっぱなしでは前に進めません。でも、迷いながらも動き続けること、迷いを抱えながらも相手のそばにいようとすること。その姿勢そのものが、すでに支援になっています。
「一緒に考える」姿勢が支援の核心
支援において大切なのは、「答えを与えること」ではなく、「一緒に考えること」だと私は思っています。
「こうしなさい」「こうすればいい」という言葉は、一見わかりやすくて親切に見えます。でも、それは相手の力を奪ってしまうことにもなりかねません。人は誰でも、自分で選び、自分で決めることで、前に進む力が育ちます。その力を育てることこそが、支援の本当の目的だと思っています。
「どうしたいですか?」「一緒に考えましょう。」
— 心の旅よりその場に寄り添い、相手のペースに合わせてゆっくり歩む。焦らせない、急かさない、決めつけない。答えを急がず、「今どんな気持ちですか?」と問いかける。そうすることで、相手の中に眠っていた力が少しずつ顔を出してくれることがあります。
また、「寄り添う」という言葉はよく使われますが、具体的にどういうことかというと、私は「相手の世界に少し入ること」だと思っています。自分の価値観や常識を一旦脇に置いて、相手の目線で物事を見ようとする。それは簡単ではないけれど、その努力をし続けることが、信頼関係を育てます。
自分自身のケアも忘れずに
支援者が見落としがちなのが、自分自身のケアです。誰かを支えるためには、支える側の土台がしっかりしていなければなりません。疲れ切った状態で人を支えようとしても、かえって相手に不安を与えてしまうことがあります。
支援者のバーンアウト(燃え尽き症候群)は、決して珍しいことではありません。熱心であればあるほど、真剣であればあるほど、燃え尽きやすい。それは弱さではなく、それだけ力を注いできた証でもあります。でも、燃え尽きる前に、意識的に休む時間を作ってほしいのです。
スーパービジョン(上司や先輩への相談)や、同僚との振り返りの時間、趣味の時間、ゆっくり眠れる環境。そういったものが、長く支援を続けるためのエネルギー源になります。自分を後回しにしないこと。それも、支援の大切な一部です。
迷ったときにしてほしいこと
支援に迷ったとき、ひとりで抱え込まないでください。信頼できる同僚や先輩に話してみる、少し立ち止まって相手の気持ちを想像してみる、それだけでも気持ちが楽になることがあります。
「こんなことを相談していいのだろうか」と思うことこそ、相談してください。小さな迷いを話すことで、自分の中の考えが整理されることがあります。話す相手がいない場合は、日記やメモに書き出すだけでも、気持ちが少し落ち着きます。
そして、あなた自身を責めないでください。迷いながらも関わり続けているあなたは、すでに十分に誰かの力になっています。完璧な支援者なんていません。迷いながら、学びながら、一歩ずつ進んでいく。その旅の途中にいる仲間として、私はいつも応援しています。
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